岐阜と愛媛を訪ねて
 8月20日岐阜県郡上郡白鳥町野添に全国伊勢音頭連絡協議会の勉強会を兼ねて拝殿踊りの見学を行った。貴船神社の拝殿で音頭取りの唄に合わせて踊るのである。

境内を流れる川を境に建っている本殿と拝殿は、周りの景観と見事に一致し、素晴らしいロケーションである。周りが暗くなると拝殿内は、ほのかに明るく神様がその場にいそうな何とも言い難い雰囲気が漂ってくる。


拝殿踊りの様子。真っ暗ななかで灯籠の光りが
皆さんの踊る影を浮かびあげる。


 今年で当地は二回目の勉強会であるが、音頭取りが唄い周りが囃子たてて踊るという基本的な形を残している所は少なくなっているのではないだろうか。音頭取りが次々と変わって唄っていき、踊り手の履いている下駄が拝殿の床とこすれて音となり、自然と楽器となっている。 楽器等を使わず、人間だけであそこまで雰囲気を高められるのは音頭取り、踊り手が、一体となった時に生まれるものと思う。
なぜか拝殿踊りを拝見するたびに新鮮さを覚える。今年は岐阜県文化財関係の職員が取材に訪れて盛んにカメラを回していた。

拝殿踊りを聞いてみよう
2000年8月20日
岐阜県郡上郡白鳥町野添
貴船神社にて
(リアルオーディオ)
(C)全国伊勢音頭連絡協議会

野添在住の北山勇氏は「昔はひとやま越えて一晩中唄い踊りにいった」ものであると、昔を懐かしむ顔で話された。音頭取りが近隣に出向いて唄い、またその場所で唄われている新しい唄等を持ち帰り、だんだんと広めていったのであろう。伊勢音頭も多分このような経路で全国に広がっていったのも選択肢の一つであろう。なお、当地には郡上伊勢音頭が残されており、現在でも結婚式のとき、花嫁が乗るタクシーでは、郡上伊勢音頭がならされ式場へとむかう。
そして、披露宴でも郡上伊勢音頭が盛んに唄われているそうである。


 さて拝殿踊りの話に戻そう、拝殿踊りは、夜10時頃には終わるが昔は一晩中唄い踊っていたそうである。拝殿内は明かりに電球を使用しているため、ほのかに明るく昔は蝋燭の明かりで今より、もっと暗かったに違いないと思う。夜が更けるにしたがって、若者にとってはこのような場所が男女の出会いの場で会ったのではないだろうかと、下駄の静かな響き、あるいはリズミカルな音の雰囲気につれらて気持ちが高揚してくると思われた。もし、私の考えが本当なら神様もなかなか粋なはからいをしてくれたものである。

 月が変わり9月15日に西条祭りのプレイベントとして行われる伊勢音頭フェスティバルに全国伊勢音頭連絡協議会そして伊勢音頭の会、伊勢轟曳会所属の宮後祭心会木遣とともに西条市を訪問したが、あいにく台風の影響で大会は中止となったが懇親会の場で、伊勢音頭の会の「古調伊勢音頭」、伊勢音頭の本歌とされる宮後祭心会の「伊勢木遣」を披露させていただいた。

西条での伊勢音頭披露
西条祭り伊勢音頭連合会の方々による披露のようす
伊勢音頭の会による伊勢音頭の披露の様子。 西条祭り伊勢音頭連合会の方たちによる伊勢音頭の披露の様子。

 伊勢音頭フェスティバルが中止のために内容は書くことができないが、西条ではだんじりを担いで唄う切れの良い伊勢音頭であり、伊勢で唄われている伊勢音頭ではとうていだんじりは担げないであろう。処方箋ではないが、同じ伊勢音頭でも使用目的によってまるっきり違ってくるということは非常に面白い。

西条祭り伊勢音頭連合会の方による
伊勢音頭を聞いてみよう。
西条祭り伊勢音頭連合会
(C)全国伊勢音頭連絡協議会

(リアルオーディオ)

宮後祭心会による
木遣りを聞いてみよう。

(C)全国伊勢音頭連絡協議会
(リアルオーディオ)



 四国地方には全県に多くの伊勢音頭が残っており伝承路としては、もちろん海路であり太平洋側よりも瀬戸内海側により多くの伊勢音頭が残されている。伊勢参宮に来た人たちよりも志摩の九鬼水軍あるいは塩飽水軍の影響が大きかったのではないだろうか。  海路の発達とともに伊勢音頭も大阪から瀬戸内海を通り、日本海を北上していったものと思われる。その詳しい経緯等は当会の学術部にゆだねることとする。

 話は余談になるが、先の岐阜県訪問の際にも雨であった。今回の西条市訪問でも雨であり、伊勢を出るときから雨を追いかけて出発した感じがした。車の中で、雨男か雨女がいるのではないかという話が出たが、その時は思い当たらなかったが伊勢に着いてからよくよく考えてみたら自分が該当するのではないかとビックリした。

 今年は秋田県から山口県まで各地を訪問させていただいたが、高い確率で雨に見舞われた感じがする。香川県木田郡三木町では傘まで拝借してきている。

里帰り伊勢音頭全国大会は是非、晴れて欲しいものである。




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