狭義の伊勢音頭

内宮狭義の伊勢音頭には、道中伊勢音頭と音曲入り伊勢音頭とがあり、道中伊勢音頭は七七七五調の二十六音字の歌詞でおもに唄われ、別名祝唄と言われる道中唄と、口説ふうの主に七五調の長唄(別名「だんもの」又は「あんこもの」) とがあり、本来、手拍子で唄われるものである。一方、座敷唄として三味線などの楽器にて伴奏されて唄う伊勢音頭があり、これには二上がりと三下がりとがある。 
   二上がりは俗に音曲入り伊勢音頭、二上がり伊勢音頭と呼ばれ昭和に入って正調伊勢音頭と呼ばれるようになる。 
 三下がりのものは俗に「さわぎ」と言われ、主に関東地方で唄われており、関東節とも呼ばれている。二上がりも三下がりも共に唄は道中唄が用いられている。このように狭義の伊勢音頭には四種類の形を認められるが、何時頃から発生したかが不明であり、少しは明らかにするために種々の資料を用い想定を試みる。
 千数百年の昔より伊勢の神領民たちは、御遷宮の前に行われる御用材の運搬奉仕してきた。この運搬をお木曳といい、このお木曳の際に労働唄として唄う伊勢木遣より伊勢音頭が派生したと考えられる。その根拠は、木遣の囃子に


「ヤットコセイ ヨイヤナ  ハレハ ハリャリャリャ ヨイトコヨイトコセー」

と言う囃しがあり、伊勢音頭の囃子詞もまた、
「ヤットコセ ヨイヤナ アララ コレハイセ ヨイトコセ」

勉強会にてと、ほぼ同様の詞であり又、曲節も良く似ているところからまず間違いないと考えられる。
 このように言いますと伊勢木遣が盛んに唄われるようになったが、戦国時代に各地で土木工事や築城が盛んになり、労働唄として石引き唄や木引き唄も多く唄われたと考えられる。
  長らく中断していた御遷宮が再興された永禄六年(西暦1564年)この頃より次第に伊勢木遣が盛んになってきたと考えられる。よって伊勢音頭は永禄以降に伊勢木遣より派生したと想定できる。この音頭は、伊勢参宮の行進唄として唄われると共に祝儀唄として棟上げ式、井戸掘りの完成時、結婚の披露宴等の慶事の際に唄い継がれてきたと考える。その愛唱によっていつしか座敷唄を派生したのではないか。 
 音数律的見地からして、現存する伊勢音頭は近世調である七七七五調の二十六音字の歌詞で唄われ又、長唄は主として七五調で唄われる。この七七七五調にて伊勢を唄った歌詞は、永享五年頃の但島豊岡地方の民謡を収めた「小歌しやが集」に数首が認
められました。一首をあげる。

「伊勢よ 伊勢よと 伊勢ふきはやす 伊勢は萱葺き 片破ぶき」


とあり、いかなる曲節で唄われたかは分かりませんが、現存する伊勢音頭の曲節で唄ってみてもピッタリと合い、大間かに見て恐らく伊勢音頭の曲節にて唄われたものと考えられる。又、伊勢音頭の囃子詞でみると宝暦三年(1754)に江戸中村座で初演された「京鹿子娘道成寺」で唄われる唄の囃子に

「よいよい ありゃいや こりやや よいとな 」


とあり、伊勢音頭と似たものが認められる。
朝熊山より伊勢市街を見る 時代は遡るが、正徳三年(1741)成稿の「滑稽雑談」(こっけいざつだん)巻九に、住吉踊り が上方で流行していたことが記述してある。時代が降り文政から天保時代に「伊勢音頭住吉踊り」が江戸で流行したことは史実として明白である。
  又その頃、文政より天保の歌詞と現行の歌詞を比較し、道中伊勢音頭と音曲入りとで唄い比べて見るに、音曲入りのほうがよくあてはまると思う。そのことにより、音曲入り伊勢音頭は文政以前より唄われていたと想定することができる。 
  参考までに当時の歌詞と現行の歌詞をあげる。なお、カタカナで書いてある部分は囃子詞である。

『当時の歌詞(「伊勢おんど住吉踊り 新文句」より)

ことしや世がよい ほうねんどしょ
ヨイトコセ コレハイナ
米のやまやま ヤンデ 金の山    
ササ ヤアトコセイ コンヤナ アリャリャ 
コレハイナ コノナンデモセイ

『現行の歌詞』
 1、正調伊勢音頭
伊勢は津で持つ 津は伊勢で持つ
ヨイヨイ 尾張名古屋は ヤンレ
城で持つ
コラコラ ヤアトコセイ ヨイヤナ アララ 
コレハイセ コノヨイトコセ
 
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「正調 伊勢音頭」(401KB)
(C)1999全国伊勢音頭連絡協議会 
       会長 畑 嘉也
2、道中伊勢音頭
ア 〜  ア ヨオイナー
伊勢は津で持つ ヨイヨイ
津は伊勢で持つ アヨオイセーソコセ
尾張なあ   名古屋は ヨーイソーレ
城で持つ
ササ ヤートコセーノ ヨーイヤナ アララ
コレハイセー ソリャヨイトコセー


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最終更新日 : 03/02/15